矯正歯科

矯正歯科治療の重要性

矯正歯科治療と聞くと、多くの方が「見た目の歯並びを整える治療」とイメージされるかもしれません。しかし、矯正治療の目的は見た目の改善だけにとどまりません。歯並びを整えることで、かみ合わせのバランスが良くなり、お口全体の機能が向上します。正しいかみ合わせは、食べ物をしっかり噛み砕くことで消化を助け、咬む力を均等に歯に分散させることで、歯への過度な負担や破折のリスクや負担を減らし、歯の寿命を延ばす効果があります。また、歯並びが整うことで歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病の予防にもつながります。さらに、成長期のお子様においては、顎や顔の骨格が適切に発育するように促す効果も期待できます。こうした「見た目」と「機能」の両面を整えるためには、精密な検査と正確な診断、そして高度な技術に基づく矯正治療が不可欠です。

歯並び・かみ合わせが悪い状態とは?

歯並びやかみ合わせに問題がある状態を「不正咬合(ふせいこうごう)」といいます。不正咬合にはさまざまな種類があり、それぞれが口腔内の健康や機能に様々な影響を与えます。

  • 上の前歯が前方に突出している「上顎前突(出っ歯)」
  • 口を閉じたときに、下の前歯が上の前歯より前に出ている「下顎前突(受け口)」
  • 顎の大きさに対して歯が大きく、並び切らずスペースが足りずに歯が重なっている「叢生(でこぼこ)」や「八重歯」
  • 奥歯は噛み合っているものの、前歯がかみ合わず、食べ物をが噛み切りにくい「開咬」
  • 前歯の間に隙間がある「空隙歯列(すきっ歯)」
  • 上下のかみ合わせが左右どちらかにずれている「交叉咬合」

矯正装置の種類

マウスピース矯正

透明なマウスピースを使用して歯並びを整える矯正方法です。「目立ちにくい」「取り外しができる」といった特徴があり、周囲に気づかれずに矯正を進めたい方に適しています。マウスピースは食事や歯磨きの際に取り外せるため、普段通りの生活を送りやすいのも魅力です。

メリット

  • ご自身で着脱が可能なためできる、生活への支障が少ない
  • 装着していても目立ちにくく、見た目に配慮できる治療中でも矯正装置が目立ちにくい
  • 食事や歯磨きがしやすく、口腔内を清潔に保ちやすい

デメリット

  • 1日20時間以上の装着が必要で、継続的な自己管理が求められる
  • 自己管理が不十分だと効果が得られにくくなる
  • 症例によっては適応できない場合がある

ワイヤー矯正

歯の表側にブラケットを装着し、ワイヤーの力を利用して歯を少しずつ動かしていく、最も一般的な矯正方法です。幅広い症例に対応できるため、多くの患者様に選択ばれています。当院では、見た目への配慮として、透明なブラケットや白いワイヤーなど、目立ちにくい装置もご用意しています。

メリット

  • さまざまな症例に柔軟に対応できる
  • 確実な歯の移動が可能で、治療効果が安定している

デメリット

  • 矯正装置が目立ちやすく、見た目に影響が出ることがある
  • 唇が閉じにくく感じるなどの不快感を覚える場合がある
  • 装置が唇や頬の内側にあたり、違和感や口内炎が生じることがある

部分矯正

気になる部分の歯並びの気になる部分だけを整える矯正方法です。矯正装置を装着する範囲が限られているため、痛みや違和感が少なく、治療期間も比較的短く済みます。前歯の軽度な歯列不正や、すき間の改善などに適しています。ただし、歯並び全体のバランス調整や、かみ合わせの大きな改善には適していない難しい場合があります。

メリット

  • 治療期間が比較的短く済む
  • 装置の装着範囲が狭いため、痛みや発音への影響が少ない
  • 費用を抑えられる場合がある

デメリット

  • 動かせる歯の範囲が限られている
  • かみ合わせ全体の調整には向いていない