【骨粗鬆症と歯科治療】お薬を飲んでいる方が歯医者に通うべき理由
こんにちは。
今回は、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のお薬を服用している方の歯科治療についてお話しします。
「骨粗鬆症と歯医者って関係あるの?」と思われる方も多いかもしれませんが、実はお口の健康と骨粗鬆症の治療は深く関係しています。
【骨粗鬆症のお薬とお口の関係】
骨粗鬆症のお薬にはさまざまな種類がありますが、その一つにビスホスホネート製剤(Bisphosphonate:BP)があります。
内服薬(錠剤)タイプと注射薬タイプがあり、投与頻度も毎日から年1回までさまざまです。
このBP製剤のごくまれな副作用として、
薬剤関連顎骨壊死(Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw:MRONJ)が起こることがあります。
日本での発症頻度は、骨粗鬆症治療に使う低容量BPで約0.1%(0.104%)と報告されています。
【MRONJとは】
MRONJとは、あごの骨が一部露出し、炎症や感染を起こす状態です。
痛みや腫れ、膿が出ることもあります。
その原因として、最近の研究ではお口の中の感染や炎症との関係が非常に強いことが分かっています。
つまり、
・歯周病
・虫歯による根の先の感染
・お口の衛生状態が良くない場合
など、顎の骨に細菌感染があると、MRONJのリスクが高くなるといわれています。
【抜歯とお薬の考え方の変化】
以前は、「骨粗鬆症のお薬を飲んでいる人は抜歯前にお薬を休む(休薬する)」と考えられていました。
しかし、2023年に発表された新しいポジションペーパーでは、
十分な研究データ(エビデンス)に基づき、原則として抜歯時に休薬を行わないことが提案されています。
(=予防的な休薬は原則として不要です。)
それよりも大切なのは、骨粗鬆症の治療を始める前に、感染源となる歯や歯周病をしっかり治しておくことです。
抜歯や感染の処置を先に終えておくことが、MRONJの予防につながります。
【医科と歯科の連携が大切です】
骨粗鬆症のお薬(BP製剤やデノスマブなどの抗RANKL抗体製剤:ARA)を使用している方では、
主治医と歯科医師が情報を共有し、連携して治療を行うことが非常に重要です。
歯科では、
・感染のある歯の治療(必要に応じて抜歯も含む)
・歯周病の管理
・義歯(入れ歯)の調整
などを行い、口腔内を清潔に保つことがMRONJ予防に直結します。
特に、合わない入れ歯を長く使っていると、粘膜の傷からMRONJを発症することもあるため、定期的な調整が必要です。
【定期的な歯科受診をおすすめします】
歯周病はMRONJの原因となるだけでなく、糖尿病・心臓病・関節リウマチなど、さまざまな全身疾患とも深く関係しています。
そのため、骨粗鬆症治療開始前の歯科治療は、MRONJの予防だけでなく、これらの病気の予防にもつながります。
【まとめ】
骨粗鬆症のお薬を始める予定の方は、まず歯科受診をおすすめします。
また、すでにお薬を服用中の方も、定期的な歯科検診とお口の管理を継続することがとても大切です。
鶴間のぽかぽか歯医者さんでは、
内科や整形外科の先生方と連携し、
骨粗鬆症治療中の方にも安心して治療を受けていただける環境を整えています。
どうぞお気軽にご相談ください。